二十一世紀が目前に迫ってきました。次代を担う子どもの教育の在り方が盛んに議論されています。
中央教育審議会の第一次答申を受けて、教育課程審議会、教職員養成審議会、保健体育審議会などが精力的に議論を重ね、次世紀の教育内容に関わる具体的な在り方を模索しているのです。
健康つくりの基盤となる健康教育の分野では、望ましいライフスタイルと生活環境の確立を目指すヘルスプロモーションの理念が定着しつつある一方で、多くの現代的課題が問題視されています。
「いじめ」や不登校、性の逸脱行動などと並んで、今日、最も大きな注目を集めているのは、喫煙・飲酒・薬物乱用の問題でしょう。国際化の急速な進展の中で、この問題は緊急に取り組むべき極めて重要な課題なのです。
このような情勢のなかで、原田幸男先生の編著による新しい著書が出版されたことは、素晴らしいの一語に尽きる快挙です。先生は何といっても長い現場教師としての実践に基づく多くの実績をもっています。そして、文部省や厚生省の多くの委員会で、この問題についての建設的な発言を重ね、行政的対応にも寄与されるとともに外国の情報通でもあります。
先生の編著による本書の第一章では、この課題の理論的根拠が分かり易く述べられ、第二章では高校生の実態調査成績が紹介されています。第三章では、この課題をどのように教えていくべきかという具体的な指導方法が説明されています。実務経験の豊かな編著者によるこの構成は、読者に対し、どのように理解し、どのように取り組むべきかを明らかに示唆してくれるはずです。
新しい時代の真に豊かで平和な社会を構築するため、喫煙・飲酒・薬物乱用の弊害から子どもたちを守るため、私たちは多くの努力を払わなければなりません。本書がこの課題の解決に大いに役立つことを心から願っています。

一九九七年五月
大妻女子大学教授人間生活科学研究所長
高石昌弘