2 保護者と教員は、これをどうとらえるべきか

平成六年度第二学区校長会PTA担当幹事(前東京都立深沢高等学校長)
渡辺信一郎

高校生の飲酒および喫煙という、基礎的で普遍的で常に今日に未解決な分野について、このように詳細な生の声を集積したことは、画期的なことである。しかも第二学区の高校生と保護者へのアンケート作業を実施したことにより、現実的な「いま」が本冊子に込められている点は、さらなる特徴である。
この第二学区にある都立高等学校のある学校では、校舎内で生徒の喫煙が秘に行なわれ、その見回りを教員たちが随時実施し、問題行動の生徒の指導に多大な労力を払っている学校もある。教員たちは、学習指導やクラブ指導に工夫を凝らし、楽しい指導を行ないたいと企図していても、喫煙・飲酒を含む生徒の問題行動に時間を奪われて、その疲労に埋もれてしまっている現実がある。
教育には「不易」と「流行」の二面がある。時代と社会の構造上の変化に従って、教育内容がそれに適合するように、対応していく一面がある。これが「流行」である。それに対して、時代や社会がどう変わっても、決して変わることのない教育内容がある。これが「不易」である。このアンケートの集計を瞥見すると、未成年者の禁酒・禁煙という課題は、単に学校教育だけの問題ではないように思えてくる。飲酒・喫煙は、人間生活にとっての必要悪であるという考え方があり、人間の思考に関するものであるから、これを制約しても無駄であるという考え方もある。学校教育の中で飲酒・喫煙の禁止をとらえる場合、これを「不易」とするか、それとも「流行」の面とするかは重大な命題である。このアンケートの集計は、現実の偽らざる様相であり、深刻そのものである。そして、「いま」を知るための素資料であると言える。