Q15、「未成年者が喫煙すると心や身体に害があることを知ってい ますか?」

q15未成年者の喫煙による健康上の害について、「知らない」とする回答は、統計上は無視しても良い程度の数値であり、ほとんどの生徒はそれを知っていることが分かる。しかも、そのうちの約三分の二は「具体的な内容を知っている」と回答しており、それはQ12~14の記述内容からも窺える。これは、飲酒の場合と異なる点であり、社会的に喫煙の害が浸透しているからであると思われる。
喫煙経験者のみについての調査では、男子については、有意差が生じなかったものの、女子の喫煙経験者については、「具体的な内容を知っている」とする回答が七Oパーセントとなり、男子に比べ、健康上の害を気にかけながら、喫煙している生徒が多いことが窺える。

Q14、「喫煙についての思いを自由に表現して下さい」

(1)飲酒のQ18と同様、大人あるいは社会一般に対する自由な意見を期待したが、Q13と同旨の内容附を記述したものも少なくない。内容的には、喫煙マナーの悪さ、健康上の害等を希望する趣旨のもの蜘が多かった。中には、煙草の製造禁止や警察の取締り強化を求めるものもあった。Q13と重複しない日範囲で、そのいくつかを紹介する。
●吸ってもいいから、他人に迷惑にならないように吸ってくれ。レストラン、エレベーター、駅のホーム等のマナーをもっと心得てほしい ●吸うのは構わないけれど、吸わない人に気をつかえない町いようなら、吸ってはいけないと思う。何も学校で吸うことはないし、特に町の中で吸うのはどうかしていると思う。大人にしろ、子どもにしろ、タバコを吸うなら周囲の人聞に気を使ってほしい。は吸殻をその辺に所かまわず捨てるのもやめた方が良い。決して自分が掃除するのではないから。 ●一番忘れないでほしいのは、タバコを吸っている本人よりも吸わない人の方が害が大きいこと、自分はタバコを吸わないのに、ガンなんかになるなんて冗談じゃない ●タバコの煙は本人だけでなく、他人の健康をも害する。しかし喫煙する権利を奪える訳でなくて困る。せめて禁煙場所をもう少し増やし、喫煙所をちゃんとした場所に設置して、喫煙者と非喫煙者を分けるべきだと思う ●未成年者だけに害があるとは思わない。成人の人もやめた方がいいのでは。未成年者だけに吸うなと言うのは差別だ ●高校生に吸うなとか、身体に悪いって言うんなら、外国みたいに自動販売機で売るなよ。閉その一方で、個人の自由とする記述も若干あり、「気分転換なら良いと思う」「マナーを守らない大人より、マナーを守って吸う高校生の方が健全」等の記述があった。
(3)更に、生徒の指導にあたるべき保護者や教師に対する鋭い批判も少なくなかった。そのいくつかを紹介する。
●中学の文化祭で展示した(健康展)を見せて、親にやめてと言っても、やめてくれない。それで私が吸って文句を言われでも説得力なんてない ●親は家の中では吸わないけど、外で吸っていて、私はタバコの匂いが嫌いなので、許せない ●タバコを吸って、酒を飲んでいる教師やPTAに「タバコ、お酒は身体に悪いんだ」と言われでも、「じゃ、お前らもやめろ。成年者でも身体に害があることを具体的に知っていますか」と聞いたい。 ●結局、学校とかでも先生が「タバコを吸ったのが見つかったら退学だ」とか言うことがかえって悪いと思う。しかも職員室は煙だらけだし、煙を吸うことも私達の身体に良いとは言えないと思う。口先ばっかりで、大人はあまり考えていないし、吸わないための努力もしていない。自分達が動かないのに、高校生に何を強制しても駄目だと思う。喫煙に関する本(又は飲酒)とかを都では作っているのだろうけど、そんなことで改善される訳がない。大人が変わらないから。喫煙も飲酒も、何が悪いって先生たちの努力が足りない。「ダメダメ」って、それでやめた人は何人いるのか。せめて喫煙室でも作ったらどうですか。でも何かしなければ高校生は変わりません。大人の煙が嫌いです。

Q13、「高校生が喫煙することについてどう思いますか?」

(1)高校生の喫煙に対する「思い」をその趣旨により「良くない」「良い(条件付)」「個人の自由」に大別すると、ほぼ六:一:三の比率となり、飲酒の場合と大きく異なっている。「良くない」とする記述は、一年生では七Oパーセント近くを占めるが、学年が進むにつれて減少し、三年生では半数を若干数割り込んでいる。「良い(条件付を含むことする記述及び「個人の自由」はその逆で、三年生と一年生の記述数を対比すると、前者は約二・五倍、後者は約一・五倍に増加している。これは、学年が進むにつれ、喫煙経験者が増加し、また、喫煙回数が増加することと対応していると思われる。hoshi4
(2)「良くない」とする記述のほとんどは、ただ単に「良くない」「やめるべきである」との結論のみを記述するか、あるいは、健康上の害を理由とするものである。「他人の迷惑となる」「高校生の喫煙は格好が悪い」等の理由を記述するものも多少あるが、法律モラル等を理由とするものは僅かである。旦(体的な例としては、次のような記述があった。
●一番成長している時なんだから、将来を考えると、一番やってはいけない行為だと思う ●喫煙している高校生を注意しないのはどうかと思う ●異常だと思う。高校生喫煙者の大部分は、タバコを吸うことが格好いいもの、ファッショナブルなものだと思っているのだろう。成人すれば思う存分吸えるものなのに、今から吸うなんて、意気がっているだけ。外人モデルが登場するタバコのCMも悪影響を与えているのではないか ●タバコなんか、ただの興味だと思う。他のことに興味をもって自分の大切さに気付いてほしい ●精神的に辛いことがあっても、他に幾らでも落ち着かせる物はあるから、やめてほしい。
(3)「良い」とする記述のうち、条件付のものと無条件のものとを対比すると、全体としてはほぼ一対一であるが、学年が進むにつれ、無条件のものが相対的に増加し、条件付のものが相対的に低下している。無条件のものとしては、一年生では「悪くない」と、控えめな表現が比較的多いのに対し、学年が進につれて、「良い」と言い切り、あるいは、「人に迷惑はかけていない」「もう大人である」等の記述が多くなっている。
条件として、次のような記述があった。
●マナーを守れば ●他人に迷惑をかけなければ ●学校外であれば ●場所を弁えておれば。
更に、次のような記述もあり、問題の深刻さを窺わせる内容である。
●放って置けば良い ●別にいいじゃん ●どうでも良い。
(4)その他に、大人のあるいは社会の責任を指摘するものとして、次のような記述があった。
●今の大人達も高校生ぐらいでタバコを吸っていたんだから、今さら大人に言われでも説得力がない ●精神的に落ち着かないから吸っている人だけでなく、そういう環境を作ってしまった大人にも責任があると思う ●自動販売機で簡単に買える社会にも問題があると思います。

Q12、「喫煙しないのはどうして?」

(1)何らかの形で、健康上の害を上げる記述が圧倒的に多く、全体で約三分の二に達する。これは、保健体育等における健康教育の成果を抜きにしては考えられない。次いで、タバコに対する何らかの嫌悪感を表現したものも多く、全体の約四分の一に達する。ところが、法律・モラル等を理由とする記述は、一Oパーセントにも達しなかった。
hoshi3(2)健康上の害を理由とするものとしては、次のような記述があった。
●ガンになり易い ●肺に悪い ●のどに悪い、咳込む ●ぜん息に悪い ●歯に悪い(汚くなる) ●肌が荒れる ●心臓に悪い ●将来の出産に悪影響を及ぼす ●身長が伸びない ●百害あって一利なし ●スポーツをするための体力・持久力がなくなる ●中学生や高校生の喫煙による害を調べたことがあるからタバコの害のビデオを学校で見たから。
(3)嫌悪感を理由とするものとしては、次のような記述があった。
●嫌い ●けむい、汚い・苦い、まずい ●ヤニが嫌い・喫煙者のそばにいるだけで嫌い。
(4)法律・モラル等を理由とするものとしては、次のような記述があった。
●未成年だから(法律で禁止されているから) ●父に吸うなと言われている ●先生に叱られる。
(5)外見上の理由を内容とするものとして、次のような記述があった。
●父が毎日ゲホゲホと咳をして苦しそうだから ●おじんくさい ●不良つまい。
(6)その他には、「癖になる」「何となく」「興味がない」等の記述があった。

Q11、「どうして喫煙するの?」

hoshi2(1)「やめられなくなった」「何となく」「おいしい」等の記述が多く、その生徒は、喫煙が習慣化していると思われ、約半数に達している。また、ストレス解消を意味する理由を記述した生徒は習慣化が一層進んでいると言って良く、これもかなりの数に上っている。「好奇心・興味」と記述した生徒は、喫煙経験が比較的浅い生徒と思われる。習慣化が顕著に窺える記述が多い。
(2)習慣化と思われる内容として、次のような記述があった。
●特にないが、吸ってみたくなる ●何となく癖になった ●吸わないではいられない ●最初は好奇心で吸っていたが、いつの間にか、やめられなくなった ●やめようと思うがそれだけの自制心がない ●ただ吸いたいから ●暇だから ●生活の一部。
(3)ストレス解消を内容とするものとして、次のような記述があった。
●イライラするから、落ち着くから ●気晴らし ●イライラが頭の動きをにぶくするが、吸うと治まる ●淋しいから ●人生に疲れたから ●やり場のない時、僕を救ってくれるから。
(4)「おいしい」等、喫煙に快楽を求める内容としては、次のような記述であった。
●おいしい、すっきりする、気分が良くなる ●まったりとした気分になる ●煙が好き。
(5)その他に、「身体に悪いことは誰でも知っているが、吸うのは自由だ」「飲んだ時は吸いたくなる」「女の子がいたから、格好をつけて、吸うようになった」等の記述があった。

Q10、「喫煙の指導・注意を受けた時、あなたはどう思いましたか?]

hoshi1(1)Q10~Q14については、飲酒のQ14~Q18と同様の理由から、記述内容の概括的な傾向と代表例を紹介する。
(2)Q10は「反省した」との記述が一番多く、「何とも思わない」という記述数を上回っており、飲酒の場合と異なっている。その一方で、「やめられない」という記述がそれに近い数値に迫り、「やめよう」という記述はその約三分の一に過ぎない。喫煙の指導・注意に対し、一応は反省の念を抱くものの、喫煙が習慣化している生徒が相当割合に達していることが窺える。
(3)「反省した」「やめよう」という内容としては、次のような記述があった。
●目が覚めた ●病気のことを教わって、恐いと思った ●その通りだと思った ●有り難いと思った ●罪悪感を感じた。
(4)これに対し、「何とも思わない」「やめられない」という趣旨のものとしては、次のような記述があった。
●うるさい ●別に ●どうでもいいじゃん ●運が悪いなあ ●その通りだが、両親も吸っているので、聞かない ●困ったなあ ●やめようと思うけど、やめられないで、少し本数を減らそう ●(先生に)見つからない所で吸おう。
(5)その他に、「男女で差別されたから、ムカついた」という記述もあった。

Q9、「喫煙について、家の人から注意を受けたことがありますか?」

q9-a喫煙に関する注意の有無については、「ある」の解答は全体では約五一パーセントであるが、男子では約六Oパーセント、女子では約四三パーセントであり男女差が若干存在する。これはQ8の調査で喫煙の事実を認識している家族の割合が、男子のほうが高いこととも連動しているのであろう。誰が注意したかについては、注意を受けた生徒数を前提にすると、父の五Oパーセント近く、母の七Oパーセント近くが注意したことになる。
注意の内容については、注意を受けた生徒数を前提にすると、全面禁止が相対的には多いものの一二Oパーセント強に過ぎない。「その他」の内容としては、喫煙の相手、機会、吸い殻処理などの注意が比較的多い。
q9-b
この調査結果を前提とするかぎり、喫煙経験者のうち男子は約四Oパーセント、女子は六Oパーセント近くの生徒が全く注意を受けておらず、また、注意を受けた場合も全面禁止は三Oパーセント強に過ぎず、飲酒に比べると事実認識の困難性があることを考慮しても、多くの保護者が喫煙を容認していることは否定できない。生徒が実際に受けた注意の内容としては、次ぎのような記述があった。
q9-c●よくないよ、やめなさい ●女はやめろ ●肺ガンになりやすい ●変な子が生れるぞ ●あんたの身体のことを言ってるのだから、やめなさい ●百害あって一利なし ●酒はいいから、タバコはやめろ ●家でふかすくらいならいいが、煙を吸い込むな ●吸いすぎるな、量を減らせ ●いたずら程度にしなさい ●くさい ●まわりが迷惑だ ●煙になる ●外では吸うな ●学校で見付からないようにしろ ●親の前では吸うな ●家だけは燃やさないで ●寝タバコするな。

Q8、「あなたが喫煙することを 家の人は知っていますか?」

q8-a喫煙の事実を家族が知っているか否かについては、「知っている」と「知っていると思う」の解答が男子では六Oパーセントを越えるのに対して、女子では過半数を割っており興味深い。飲酒に比べると男女とも低い割合であり、事実認識の困難性が窺える。
q8-b
誰が知っているかについては、母は三分の一、父および兄弟姉妹は各四分の一が事実を認識しているようであるが、飲酒に比べると相当低い。

Q7、「タバコをどこで手に入れますか?」

q7タバコの入手先については、自動販売機が約五七パーセントに達しているが、タバコ屋(コンビニ)も約四二パーセントに達し、かなり多い。「その他」の解答では、友人ないし知人から「もらう」とする解答が比較的多かった。

Q6、「喫煙する場所はどんな所ですか?」

q6喫煙場所については屋外が一番多い。興味深いのは、屋外の比率については学年が高くなるにつれて、男子では割合が減少する(七四パーセント~五三パーセント)、女子では増加する(一二パーセント~五一パーセント)。次いで、自宅が多く四Oパーセント台後半の数値となる。他は友人宅、ファーストフード店、ゲームセンター、居酒屋、スナックなど、カラオケボックスがそれぞれ四Oパーセント前後の数値となっており、多様化している。同時に飲酒と喫煙の関連性も窺われる。
概括的にみるならば、経験者の半数近くが自宅で喫煙しており、学年が高くなるにつれて様々な場所での喫煙が行なわれていると言えよう。

Q5、「喫煙する時はどんな時ですか?」

q5喫煙の機会については「遊んでいる時」が男女とも五Oパーセント以上で、他を引き離している。次いで、「飲酒の時」が三Oパーセント強を占めており、この解答は学年が高くなるにつれて増加し、三年生では男女とも四二~四五パーセントに達しており、飲酒と喫煙の関連性が認められる。「その他」としては、「吸いたい時」「暇な時」「いらいらしている時」などの解答が比較的多い。

Q4、「高校に入ってからどの程度の喫煙をしていますか?」

q4高校入学後の喫煙回数については、喫煙経験者のうち男子で約四三パーセント、女子で約三二パーセントが毎日のように喫煙している。毎日ではないが、週一回以上の喫煙者が男女とも約九パーセント存在し、これを加えると、喫煙がすでに習慣化しあるいはその傾向にある生徒は、喫煙経験者のうち男子では過半数となり、女子でも四Oパーセントを越えており看過しえない数値である。
「その他」としては、「不定期」「数回以下の経験」「もう止めた」などの解答が比較的多い。
当然のことながら、すでに習慣化しあるいは、その傾向にある喫煙者は、男女とも学年が高くなるにつれてその割合が増加している。その一方で、すでに喫煙を止めたと明記した生徒が、喫煙経験者のうち男子で約九パーセント、女子で約一五パーセント存在することは特筆に値する。

Q3、「それほどんなきっかけからですか?」

q3喫煙のきっかけについては、「友人に誘われて」の解答が半数近くに上っており、次いで、「自分から進んで」の解答が約三六パーセントとなっている。「親の勧めで」の解答は、飲酒と異なり極少数ではあるが存在する。「自分から進んで」喫煙した場合も、周囲の環境などの影響を抜きにしては考えられない。「その他」としては、親戚ないし家族の勧め、先輩の勧めなどが比較的多い。

Q2、「初めて喫煙したのはいくつの頃ですか?」

q2初めての喫煙時期については、小中学生時代の経験者が男子では約七七パーセント、女子でも約六四パーセントに達している。この点は、他の機関による調査結果においても同様の傾向が一不されており(注91小中学生時代からの喫煙教育が重要であることを示している。

Q1、「今までに喫煙の経験がありますか?」

q1喫煙の経験については、飲酒と異なり男女差が存在し、経験者は男子で約四Oパーセント、女子で約二五パーセントである。学年別に概観すると、男子は一年生で四Oパーセント足らずであったものの、二年生で約五Oパーセントに達し横ばい状態となり、女子では一年生では二Oパーセント足らずであったものの、学年が高くなるにつれて徐々に上昇し、三年生では約三二パーセントに達する。この調査結果と他の機関による調査結果を対比すると、調査の時期、場所、対象、方法および内容によってばらつきが生ずるものの、傾向的には符合している。

2 保護者と教員は、これをどうとらえるべきか

平成六年度第二学区校長会PTA担当幹事(前東京都立深沢高等学校長)
渡辺信一郎

高校生の飲酒および喫煙という、基礎的で普遍的で常に今日に未解決な分野について、このように詳細な生の声を集積したことは、画期的なことである。しかも第二学区の高校生と保護者へのアンケート作業を実施したことにより、現実的な「いま」が本冊子に込められている点は、さらなる特徴である。
この第二学区にある都立高等学校のある学校では、校舎内で生徒の喫煙が秘に行なわれ、その見回りを教員たちが随時実施し、問題行動の生徒の指導に多大な労力を払っている学校もある。教員たちは、学習指導やクラブ指導に工夫を凝らし、楽しい指導を行ないたいと企図していても、喫煙・飲酒を含む生徒の問題行動に時間を奪われて、その疲労に埋もれてしまっている現実がある。
教育には「不易」と「流行」の二面がある。時代と社会の構造上の変化に従って、教育内容がそれに適合するように、対応していく一面がある。これが「流行」である。それに対して、時代や社会がどう変わっても、決して変わることのない教育内容がある。これが「不易」である。このアンケートの集計を瞥見すると、未成年者の禁酒・禁煙という課題は、単に学校教育だけの問題ではないように思えてくる。飲酒・喫煙は、人間生活にとっての必要悪であるという考え方があり、人間の思考に関するものであるから、これを制約しても無駄であるという考え方もある。学校教育の中で飲酒・喫煙の禁止をとらえる場合、これを「不易」とするか、それとも「流行」の面とするかは重大な命題である。このアンケートの集計は、現実の偽らざる様相であり、深刻そのものである。そして、「いま」を知るための素資料であると言える。

1 平成六年度活動報告について

東京都公立高等学校第二学区PTA連合会平成六年度学区長 福田恒治

この冊子は、東京都公立高等学校第二学区PTA連合会における平成六年度の活動をまとめたものである。平成六年度本連合会は、一貫して高校生の飲酒・喫煙問題についての取り組を行なった。それはPTAが生徒のための組織であり、生徒を視野に入れたPTA活動を行うべきであるとの基本認識に立ち、近時、高校生の聞に飲酒・喫煙が広がり、それによる健康上の害が指摘されるという事実を前提としたものである。翻ってみると、未成年者の飲酒・喫煙は古くから禁止され、これに違反した生徒は何らかの指導や注意を受けてきたはずである。その予防的効果は、必ずしも十分ではなかったと言わざるをえない。その原因の一つは、飲酒・喫煙問題に対する私達の教育、指導あるいは対応が、たまたま発覚した事実に対する事後的、個別的な対処に傾きがちであり、家庭教育や健康教育などの観点からの取り組が不足していることにあると言えないだろうか。また、相手が高校生ともなれば、私たちの行なう教育、指導のあり方にも一層の工夫と創意が求められるはずであるが、そのための努力が不足していたと一宮早えないだろうか。このような問題意識を持って私たちは取り組んだ。
同時に私たちは、飲酒・喫煙の広がりと言う事実を直視すると共に、飲酒・喫煙はどの高校生も等しく誘惑を受けやすく、また、簡単にアクセス出来る存在であることなどを考慮し、それを直ちに他の問難題行動などと結び付けるのではなく、「実り豊かな高校生活を生徒と共に考える」という視点から、家恥庭教育や健康教育などの一環として、事前かっ要望的に対処する必要のあることを強調した。さらにいえば、私たちは飲酒喫煙問題をきっかけとして、家庭教育や健康教育などのあり方を再検討し、充実を図ると共に、その実践活動が「実り豊かな高校生活をともに考える」出発点となることを期待した。
かくして私たちは、飲酒・喫煙に関する生徒の意識と行動および保護者による指導の実際を、正しく把握し、その中から問題の所在を認識する必要があると考え、Step1として、生徒および保護者を的対象とするアンケートを実施した。これと並行して、Step2およびStep3として、一泊研修会および全体研修会を実施した。一泊研修会では飲酒・喫煙問題を切り口として、家庭教育と学校教育の交錯する領域の問題点を確認しあった。また、全体研修会では、未成年者の飲酒喫煙による健康上の害得について、専門家を講師とする講演会を開催し、効果的な教育、指導を行なうための基礎的知識の習得を図った。アンケート調査の概括的集計を終えた時点で、Step4として、保護者と先生と生徒によるシンポジュウムを開催し、高校生の飲酒・喫煙問題について自由に語り合った。参加した生徒は、率直に事実ないし意見を述べ、その「生の声」は、改めて問題の所在を私たちに認識させた。